ホント?運動は百害あって一利なし??

2021年の経済産業省によるとスポーツジムの利用者数はひと月に1500万人を超えており、会員数は250万人以上と報告されています。
これだけ健康に気を使っている方が多いということですね。

しかし、その一方で整形外科のリハビリに通う患者さんの中にはスポーツジムなどで運動している方が多いというのも事実です。
最近ではスポーツジム内に接骨院が併設されているスポーツジムも出てくるくらいです。
スポーツジムも接骨院も健康のための施設という意味では併設してると良いことがあるのかもしれません。
一方で、接骨院はカラダを治すところなのでカラダを鍛えるためのスポーツジムに併設されていることに疑問(スポーツジムはカラダを痛めることが前提なのか!?)を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、スポーツジムなどの運動によってカラダを痛めてしまうメカニズムについてお伝えしたいと思います。

私、最近運動始めたの!すごいでしょ?



それはすごいね!(あんなに運動嫌がっていたのに・・・。)



でも・・・最近いろんなところが痛くて・・・。



それはね・・・。
痛みと筋力は関係ない!?
病院や接骨院、整体院に行くと、ひざの痛みを筋力で治しましょう!とよく言われますが、筋力が弱いことが痛みの原因になる、ということはほとんどありません。
考えてみてください。
普段からカラダを鍛えている筋力の強いスポーツ選手であっても、カラダを痛めたとニュースになることがありますよね?
それに対して、筋力の弱い赤ちゃんはどのような寝方をしていても、カラダを痛めている様子は見られませんよね?
・筋力の強いスポーツ選手→カラダを痛める
・筋力の弱い赤ちゃん →カラダを痛めない
つまり・・・
筋力の強い弱いは痛みには
ほとんど関係がありません。


えーーー!健康のために運動を始めたんだけど・・・。


運動は健康のためには良いことだよ!ただ、運動で痛みは取れないってだけだよ。
今度は学生時代の運動部を思い出してみてください。
同じ運動部であってもよくカラダを痛める生徒と全く痛めない生徒がいたのではないでしょうか?
それに対して、文化部の生徒でカラダを痛めている生徒はほとんどいなかったのではないでしょうか?
つまり、文化部よりは運動部の方がカラダを痛めやすく(運動しない方がカラダに良い?)、同じ運動部でもカラダを痛めやすい生徒と痛めにくい生徒がいる(筋力以外の違いがある?)ということです。
柔軟性と運動の有無
結論からお伝えすると、
カラダを痛める原因の多くは
筋力ではなく柔軟性
なのです。つまり、スポーツ選手であっても学生であっても柔軟性の高い人は運動をしていてもカラダを痛めにくく、柔軟性の低い人はカラダを痛めやすいのです。
そして、スポーツは日常生活以上に関節を大きく動かします。
例えば、ダンスで足を後ろに挙げる運動をするとします。
股関節の柔らかい人は股関節だけの動きで足を後ろに挙げることができますが、股関節の硬い人は足を後ろに挙げるために腰を反り、腰で股関節の動きを代償しようとしてしまいます。
そのような腰の反りかえりをダンス中に何十回と繰り返すことで腰に負担がかかり、痛みが出てしまうのです。
日常生活においては、足をそこまで後ろに挙げることはしないので、腰を反りかえる頻度が少なく、腰に痛みが出ることはほとんどありません。


だから、私の腰も運動した後に痛くなったんだ!
つまり、股関節の可動域以上に股関節を動かしてしまうことで、代償で動いていた腰に影響が出てしまったのです。
そして、運動には日常生活以上に関節の可動域が必要となるため、運動をしているとカラダを痛める確率が増えてしまうのです。
運動での痛みを防ぐには?
先ほどお伝えしましたとおり、運動には日常生活以上に関節を動かす幅、つまり可動域が必要となります。
その可動域は日常生活では使っていない幅なので、硬くなっていることが多いです。
その状態で急に運動を始めてしまうと硬くなっている関節やその周りの関節にストレスがかかり、痛みが出てしまいます。
そのため、新しい運動を始めるときには注意が必要です。
カラダに痛みがあるときには運動を止めてしまうのも一つの手ではありますが、痛みがないときは筋力をつけることも重要です。
筋力で痛みは取れないので、あくまで痛みのないときだけです。
そのため、運動を始める前にはしっかりとストレッチなどの柔軟体操を行って、運動で動かす可動域が確保できてから運動を始めることでカラダの痛みを防ぐことができると思います。
ストレッチについてはこちらで紹介しています。






まとめ
“運動は百害あって一利なし”、というわけではありませんが、柔軟性のない状態で運動を始めてしまうとカラダに痛みが出てしまうかもしれません。
筋力が弱いから痛みが出るのではありません。筋力が弱いことで出てしまう痛みは筋肉痛です。
日常生活以上の可動域で動かす運動さえしなければ痛みを防ぐこともできます。
しかし、そうでない運動をするのであれば、運動前には柔軟性を十分に高めてから運動をしていきましょう。


運動をしてカラダを柔らかくするんじゃなくて、運動する前にカラダを柔らかくしておくといいのね。


硬くなりすぎてしまったカラダを柔らかくするのは大変だから、専門家にチェックしてもらうといいね。