動いてフツウ?お皿と呼ばれるシツガイコツ

みなさんは膝蓋骨(シツガイコツ)という骨をご存じでしょうか?
よく”お皿”と呼ばれているひざにある骨のことです。
ときどきリハビリの患者さんに「お皿がこんなに動くのですが、大丈夫でしょうか?」と聞かれることがありますが、お皿は・・・
動かなきゃダメなんです!
逆に動いてない患者さんの方がお皿を気にしていない人が多い印象です。
そこで今回は、お皿はなぜ動かなきゃダメなのか?動かなくなるとどうなるのか?についてお伝えしたいと思います。

へぇ~、お皿って動かなきゃダメなんだ。

そうだよ!動かないとひざに痛みが出るかもよ。

お皿が動かないと痛くなっちゃうの!?

歩いてるときの痛みも階段を昇り降りするときの痛みも関係してることがあるんだ。
お皿ってどこにあるの?
ひざ関節と呼ばれる関節は大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)、そして膝蓋骨(しつがいこつ)と呼ばれる“お皿”で構成されています。

一般的にいわれているお皿の代表的な働きはこの2つです。
①前方からの衝撃からひざを守る
➁ひざを伸ばす筋力を発揮しやすくする
ひざを伸ばす筋肉とは大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のことです。

大腿四頭筋はお皿にしっかりとくっついているので、お皿が動かなくなってしまうとうまく収縮することができなくなり、ひざを伸ばす力が弱くなります。

お皿が動かないとひざの力が弱くなるのね!
しかし、これで痛みが出るわけではありません。
お皿が動かなくなってしまうと、お皿と接している大腿骨との間が狭くなり、骨と骨がぶつかりやすくなってしまいます。
そして、このようなぶつかる状態が年単位で続いてしまうと関節の変形が進んでしまいます。

へ、変形!?それは嫌!
しかし、変形自体が必ず痛みを出すわけではありません。
ではなぜ、お皿は動かなくなるのか?何が痛みを出しているのか?この後、確認していきたいと思います。
お皿の動きと痛みの関係
ひざ関節に浮いているお皿はなぜ動かなくなるのでしょうか?次のイラストを見てください。

ひざ関節を下から見てみると、大腿骨の溝にお皿がはまり込んでいることが分かります。
そして、骨だけを見ていては分からないのですが、お皿は靭帯によって大腿骨の溝にしっかりと固定されており、身動きを取りにくい構造となっていることが分かります。


上は靭帯、下は骨でしっかり固定されているのね。
さらに、お皿と大腿骨、そして脛骨の間には脂肪体と呼ばれるカタくなると痛みを感じやすい脂肪の塊があります。
お皿が動かなくなったときに痛みを出すのがこの脂肪体です。
お皿がよく動いている人のMRIをみると、脂肪体が形を変えてよく動いているのが分かります。

お皿は大腿骨の溝と靭帯によってひざ関節に固定されていますが、何らかの理由でそれらがさらに強固になってしまい、お皿の動きが悪くなってしまいます。
お皿の動きが悪くなってしまうとお皿の下や奥を移動するはずの脂肪体が動けなくなり、カタくなっていってしまいます。
カタくなった脂肪体は、歩くときや階段の昇り降りなどの動作でさらに圧が加わると痛みを出してしまうのです。
これがお皿が動かなくなることで出てくる痛みです。
だから、お皿はよく動いた方が良いのです。

なるほどね・・・。
お皿の動かし方
お皿の動きを悪くしないためには、普段から動かしておくことが重要です。
お皿はひざを曲げてしまうと大腿骨の溝にはまり込んでしまい動けなくなってしまうので、お皿を動かすときには必ずひざを伸ばして力を抜いた状態で行います。

イスに座って、ひざを伸ばすとやりやすいです。
お皿を動かす!と聞くと、お皿を内側や外側に向けて横に動かそうとしてしまいますが、お皿の下には大腿骨の溝があるので、横に押してしまうと骨と骨がぶつかってしまいます。

そこで、ひざの奥に向けてお皿の一方を押し込み、反対側を持ち上げるイメージで行います。
そのようにするとお皿が溝に沿ってよく動いてくれます。

ホントだ!奥に押し込むのがポイントなのね。
これを横だけではなく、お皿の周り上下左右360°行います。

こうすることでお皿が動かなくなることを防ぐことができます。
まとめ
今回はお皿はなぜ動かなきゃダメなのか?動かなくなるとどうなるのか?についてお伝えしました。
お皿が動かなくなってしまうと、骨と骨がぶつかりやすくなるだけではなく、奥にある脂肪体がカタくなり痛みが出てしまいます。
そうならないように、普段の生活の中でもう少しお皿の動きを気にするようにして、予防的にお皿を動かすようにしていってください。

お皿が動かなきゃいけない理由が分かったわ。

これからはお皿の動きを気にしてあげてね。