なんとなく打ってませんか?ヒアルロン酸注射

みなさんはヒアルロン酸注射を打ったことがありますか?

中には週に一回、月に一回と診察のたびに打っている方がいらっしゃるかもしれません。

ヒアルロン酸注射と言えば、特に美容や整形外科で使用されている注射ですが、実際にはどのような効果があるのでしょうか?

そこで今回は、ヒアルロン酸の効果と注射に対する考え方についてお伝えしたいと思います。

ひざに痛みが出たときにヒアルロン酸注射をするかどうかを決める判断材料にしていただければと思います。

ひざには打ったことないけど、お肌には重要って気がしてる!

そうだね。特に美容で注射に使うヒアルロン酸はすごいらしいよ!

最先端技術で作られた非生物由来って書いてあったよ。

よく知ってるね。ひざに打つヒアルロン酸は生物由来が多いかな。

目次

そもそもヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸はカラダのいたるところにある成分で、特に目、肌、関節に多く存在しています。

例えば、肌のヒアルロン酸は肌の保湿や弾力を保つために重要です。

その保水力はヒアルロン酸1.0gで約6.0Lと言われており、この作用によって肌のうるおいとハリを保つことができています。

6.0L!?大きいペットボトル3本分!!

イメージとしては驚異的な吸収率のスポンジといったところです。

歴史をさかのぼると、ヒアルロン酸は1934年に米国コロンビア大学教授のカール・マイヤー博士らによって、牛の目の硝子体から発見された成分です。

ヒアルロン酸に多く含まれているウロン酸Uronic acidとギリシャ語の硝子体という意味のHyaloidを掛け合わせてヒアルロン酸Hyaluronic acidと名付けられたそうです。

このヒアルロン酸は加齢によってカラダで作られにくくなってしまうことで、カラダに問題を起こしてしまいます。

20歳のヒアルロン酸を100%とすると、30歳で65%、50歳で45%、60歳で25%にまでに下がってしまいます。

そ、そんなに減るの!!

夏でも肌が乾燥してしまうわけです。

ひざの関節においても、正常であればヒアルロン酸の濃度が0.3~0.4%のところ、変形性ひざ関節症になるとその濃度は0.1~0.2%と半分以下にまで下がってしまいます。

ヒアルロン酸はとても弾力性のあるクッションの役割を持つ成分なので、濃度が下がってしまうと関節にかかる負担が増えてしまいます

問題を起こさせないためには、カラダにヒアルロン酸を補う必要があります。

ヒアルロン酸を増やすには

ヒアルロン酸は人のカラダで作られてはいるのですが、加齢や関節の変形などによって少なくなってしまいます。

そのため、ヒアルロン酸を補っていないと肌のうるおいやハリがなくなって、しわやたるみの原因となったり、ひざのクッション作用がなくなって、痛みの原因となることがあります。

ヒアルロン酸が含まれている食品には、ニワトリのとさか魚の目豚足といった食品?というような、普段の生活ではなかなか食べることがなかったり、人生で一度も食べない可能性すらある食品があります。

そのため、美容においても整形外科においてもサプリメントや注射を使ってヒアルロン酸を補っているというわけです。

特に、美容で使用されるヒアルロン酸注射は効果を長持ちさせるための研究が進んでおり、整形外科で多く使用されているニワトリのとさかを使った生物由来のヒアルロン酸ではなく、バイオテクノロジーで精製された非生物由来のヒアルロン酸を使用しているそうです。

その効果はとても長く、6か月~1年とされています。

でも、永久ではないのね・・・。

それに対して、患者さんからよく話の挙がるひざを守るサプリメントはテレビCMこそよく見かけますが、じつは日本整形外科学会では科学的データによる有効性を認めていません

私自身もサプリメントを推奨している整形外科医にはほとんどお会いしたことがありません。

「お試しで一か月!」的なサプリメントははっきりとした効果が認められていないようです。

ひざへのヒアルロン酸注射はどうなのか?

さて、ひざへのサプリメントが推奨されていないとすると、直接ひざにヒアルロン酸を打つ注射はどうなのでしょうか?

じつは、米国整形外科学会が発行している臨床診療ガイドラインでは、”ヒアルロン酸の関節内注射は変形性膝関節症の治療法として推奨しない“とされています。

ひざの痛みと言ったらヒアルロン酸注射!とすぐに思い浮かべる人も多い日本では驚きの事実です。

また、びっくりした!

では、日本ではどうかというと、2023年に発行された日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドラインでは、ヒアルロン酸注射の鎮痛効果に関する9論文を選出したところ、その中の5論文つまりは半分以上の論文で無効とされていました。

また、調査委員会で行われたヒアルロン酸注射の推奨程度の投票では、15名中1名が強く推奨するとしましたが、残りの14名は弱く推奨程度となったそうです。

しかし、サプリメントとは違って、好んでヒアルロン酸注射を打つ先生にはよくお会いします。

ここにヒアルロン酸注射に対する一般的なイメージと医療現場での考え方、そして科学での検証結果に違いがあります。

何が正しいのか分からない・・・。

ヒアルロン酸注射は打った方が良いのか?

濃度の高いヒアルロン酸注射ほど、痛みといった副作用が出るとの報告もあります。

ひざが痛むから”なんとなく打つ“のではなく、主治医からしっかりと説明を聞いて”納得した上で打つ“ことをオススメします。

まとめ

今回はヒアルロン酸の効果と注射に対する考え方についてお伝えしました。

“加齢や関節の変形によって減少する”と聞いてしまうと、なんとかして補充したくなってしまうヒアルロン酸ですが、その方法は様々です。

また、その効果については見解が分かれていることもあるため、治療で提案された場合には”なんとなく打つ“のではなく、主治医からしっかりと説明を聞いて”納得した上で打つ“ようにして、その効果についてもしっかりと判断していくことが必要となります。

濃度の高いヒアルロン酸注射ほど痛みなどの副作用が出るとも言われています。

なんとなくヒアルロン酸注射を続けて打ってしまっているという方がいらっしゃいましたら、この機会にしっかりと効果を検証してみてはいかがでしょうか?

なんとなくで注射はダメなのね。

どんな治療も納得した上で行うようにすると良いね!

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