余計な負担を減らそう!階段がツラい本当の原因
毎日昇り降りしていた階段がツラくなってきたとき、みなさんは何が原因だと考えるでしょうか?
多くの方は運動不足で脚の筋力が弱くなったから、と考えるのではないでしょうか?たしかに、階段の昇り降りがツラくなってしまう一つの原因として筋力の低下が挙げられます。
リハビリに来られる方の中にもそう考える方は多く、スクワットのやり方を教えてほしいと言われることがあります。
しかし、実際には筋力が弱くなっているのではなく、別の原因により脚にかかる負担が増えることによって、階段の昇り降りがツラくなっていることが多いです。
そこで今回は、階段の昇り降りで脚にかかる負担を増やしてしまう原因について、お伝えしたいと思います。
最近、階段の昇り降りが大変になってきたんだけど・・・。
そうなの!?それは何とかしたいね。
だから、最近スクワット始めてみたの!
それはえらいね。でも、実はそれよりももっと良い方法があるんだよ!
- 階段昇降がツラい原因は筋力ではなく可動域
- 階段昇降では足くびがカタいとひざに負担がかかる
- しゃがみ込める≒脚に余計な負担をかけずに階段を昇り降りできる
階段の昇り降りがツラくなる原因は?
病院やクリニックには、ひざが痛くなって階段の昇り降りがツラくなった、という方が多く来院されます。
しかし、リハビリでウォーキングをしているときのひざの痛みが取れたとしても階段の昇り降りはツラいまま、という患者さんは少なくありません。
ひざの手術をした患者さんも同じように、手術前からの痛みがなくなったとしても階段の昇り降りはツラい、という方は多いです。
そこで多くの方はこう考えます。階段の昇り降りがツラくなったのは・・・
筋力が弱くなったから!
そう!だから私もスクワット始めたの!
そう考えて、テレビやYouTubeなどを観て、筋力を強くするためにスクワットを始めてしまいます。
でも、違うんです!
たしかに、ひざに痛みがあると筋力は弱くなります。
また、ウォーキングするよりも階段の昇り降りの方が強い筋力が必要となることは間違いありません。
しかし、その必要となる筋力が実際は”10″の力で済むところ、ある原因によって脚に”13″や”15″といった余計な負担がかかってしまっていることがあります。
それでは・・・
いくら筋力を強くしても、階段の昇り降りは楽にはなりません。
逆に言えば、その原因さえ解消することができれば、“10”の力が必要であっても、脚への負担は”6″や”8″で済ませることができるかもしれません。
脚に余計な負担がかからないようにできれば、今よりも楽に階段を昇り降りできるんです!
その原因とは・・・。
階段昇降は筋力ではなく可動域
階段の昇り降りで脚に余計な負担をかけてしまう原因・・・それは足くびのカタさです。特に足先を持ち上げられる幅が重要です。
しっかりとした筋力をつけるためには生理学的に考えても2か月はかかります。
今回の目的は筋力を強くすることではなく、今よりも楽に階段の昇り降りを行うことなので、筋力に固執する必要はないはずです。
途中から筋力を強くすることが目的になってたわ・・・。
では、なぜ足くびがカタいと脚に余計な負担がかかってしまうのでしょうか?
こちらのイラストを見てください。
足くびがやわらかいとしっかりと足を踏み込むことができ、カラダの重心を前に運びやすくなります。
重心を前に運べると重心をひざに近づけることができ、ひざにかかる負担を減らすことができるのです。
重心から遠い関節には負担がかかりやすくなります。
それに対して、足くびがカタいと踏み込みづらくなり、カラダの重心を前に運べなくなります。
そうなると、重心とひざが離れてしまい、ひざにかかる負担が増えてしまうのです。
いくら筋力が強かったとしても、足くびがカタくて重心をひざに近づけられなくなってしまうと、余計な負担が増えてしまい、階段の昇り降りがツラくなってしまうのです。
なので、楽に階段を昇り降りをするためには、筋力ではなく足くびのカタさを取り除きましょう。足くびさえやわらかくなれば、筋力は今のままで十分かもしれません。
では、具体的にはどれくらい足くびがやわらかくなれば良いのでしょうか?
ひざに関しては、ひざを100°曲げることができれば階段の昇り降りが可能とされています。
それに対して足くびは、足先を20°持ち上げることができれば、階段の昇り降りが可能とされています。
足くびがカタい状態で階段の昇り降りしているとつま先が外方を向いてしまい、ひざに捻じれのストレスがかかり、ひざを痛めてしまう危険があります。
ひざのためにも足くびはやわらかくしておいた方が良さそうですね。
足くびをやわらかくするためには
なぜ、足くびはカタくなってしまうのでしょうか?
どのような関節であっても、一日の間に1、2回は動かせる幅の最後まで動かさないとカタくなる、とされています。
生活様式が和式から洋式に変わったことで床での生活がなくなり、足くびを最後まで曲げる機会が減ってしまったことが、足くびがカタくなってしまう原因の一つです。
生活様式の変化は年配の方だけに限らず、 小中学生にも大きな影響を与えています。
足やひざを痛めてリハビリを受けている小中学生の大半は、足くびのカタさが痛みの原因になっています。
老若男女を問わず、足くびの硬さはひざや足自体に悪影響を及ぼしてしまうのです。
足先を20°持ち上げられるかどうかのチェックには簡単な方法があります。
じつは、踵を床につけたまましゃがみ込めることと足先を20°持ち上げられることは同じことなのです。
山崎 裕司・他:関節背屈可動域としゃがみ込み動作の関係, 理学療法科学25(2), 2010.
チェックの際には、ひざと足先を正面に向けた状態で踵を床につけたまましゃがみ込んでみてください。
そして、しゃがみ込めることができていれば、ひざも100°以上曲がっていることになるので、しゃがみ込める≒脚に余計な負担をかけずに階段を昇り降りできる、ということになります。
足先を20°持ち上げられる程に足くびをやわらかくする方法はコチラをご覧ください。
しゃがみ込めても階段の昇り降りがツラいという方には筋力トレーニングが必要かもしれません。
まとめ
今回は、階段の昇り降りがツラくなってしまう本当の原因についてお伝えしました。
階段の昇り降りがツラくなってしまうのは筋力が弱くなったからではなく、足くびのカタさが原因で脚に余計な負担がかかってしまいます。
足くびのカタさをチェックするには踵を床につけた状態でのしゃがみ込みが有用です。
もし、しゃがみ込めない場合には足くびのストレッチをやってみてください。
しっかりとしゃがみ込めていても階段昇降がツラい場合には筋力トレーニングが必要かもしれません。
足くびがカタいと脚にかかる負担が増えてしまうのね。
階段の昇り降りがツラくなったら、筋力トレーニングではなくて、足くびをやわらかくすることをオススメします。