ひっかかり始めたら!ばね指のリハビリが少ない理由と対処方法3選

ばね指とは指を曲げたときにひっかかり、指を伸ばそうとするとひっかかりがばねの様に外れる指のことを言います。

ばね指に多い症状は、朝に指を曲げ伸ばししたときのひっかかりと指の付け根の痛みです。

ひっかかり程度で済んでいる間であれば日中になると気にならなくなってきますが、症状が重くなってしまうとひっかかりが強くなり指を伸ばせなくなってしまいます。

そんなばね指ですが、理学療法士にできることは沢山あります。

しかし、多くの病院やクリニックではリハビリをせずに注射や手術で治療が終わってしまうことが少なくありません。

そこで今回は、ばね指に対してリハビリを行うことが少ない理由とばね指に対する簡単な対処方法についてお伝えしたいと思います。

やっぱり指を使い過ぎてしまうとばね指になっちゃうのかな?

そうだね。特に力を入れて指先を使うことが多いとばね指になりやすいよね。

注射するのも手術するのも嫌なんだけど・・・自分で何とかできないかな?

普段の指の使い方を注意すれば、ばね指になりづらくなるはずだよ。

このコラムで分かること
  • ばね指は腱と腱鞘が擦れて起きる疾患
  • 整形外科に勤務する理学療法士は手指のリハビリ経験が少ない
  • ばね指を予防する方法
目次

ばね指とは

ばね指とは、指を曲げるために働く筋肉につながっているとその腱が指の中を左右にズレたり、浮き上がらないように抑えている腱鞘(けんしょう)とが繰り返し擦れてしまうことで起きる疾患です。

この腱と腱鞘との摩擦が頻回起きてしまうと、腱は腫れ、腱を抑えている腱鞘は狭くなり、ひっかかりが起きてしまいます。

症状の軽いうちは痛みもなく、朝起きたときの指のひっかかり程度で日中は気になることもほとんどありませんが、症状が重くなってしまうと指の付け根に痛みが生じ、指を曲げたまま伸ばせなくなってしまうこともあります。

特にばね指になりやすい指は親指、中指、薬指とされています。

治療方法としては腫れを抑えたり、滑りをよくする注射をすることや腱鞘自体を切ってしまう手術があります。

残念なことに、ばね指に対して積極的にリハビリを行っている病院やクリニックはほんの一握りしかありません。それはなぜなのでしょうか?

リハビリが行われていない理由

理由その1.理学療法士と作業療法士のすみ分け

ばね指のリハビリが行われていない理由の一つは、理学療法士と作業療法士のすみ分けにあります。

病院で理学療法士といえば、足全体や腰にアプローチを行い、患者さんの困っている寝起きや立ち上がり、そして歩くといった大きな動作を改善することが多い職種です。

それに対して、作業療法士は手や肘、そして肩にアプローチを行い、日常生活に必要な動作や家事といった細かい動作を改善することが多い職種です。

つまり、理学療法士は腰から下のリハビリ作業療法士は肩から手にかけてのリハビリといったすみ分けをしている病院が多いのです。

へぇ~、そんな風に分けられてるんだ・・・。

そのため、理学療法士がばね指のリハビリを行っている病院はあまり多くありません。

とはいっても、理学療法士が手のリハビリをしていたり、作業療法士が足のリハビリをしている病院もあるくらいなので、100%すみ分けがされているわけではありません。

理由その2.整形外科に勤務する作業療法士が少ない

整形外科に勤務している療法士のほとんどは理学療法士であり、作業療法士はあまり多くありません。

そして、作業療法士の多くは脳卒中などの中枢疾患のリハビリをしている病院に勤務しています。

つまり、ばね指は整形外科の領域ですが、整形外科には作業療法士が少ないため、手指のリハビリに不慣れな理学療法士がばね指のリハビリをすることになってしまっているのです。

そのため、ばね指に対してのリハビリは効果は出にくく、ばね指に関する学会発表や論文も少なくなっており、お医者さんにもばね指のリハビリは効果がないと思われてしまい、注射や手術がメインの治療になってしまっているのが現状です。

みなさんのお近くの整形外科には作業療法士、またはばね指に関する発表をしている理学療法士はいるでしょうか?

・・・そんなことは分かりませんよね?

インターネットでの検索が苦にならない方であれば、こちらでばね指に関する報告を行っている理学療法士がお近くの整形外科に勤務しているかどうかを調べることができます。

ばね指の対処方法3選

インターネットで調べても、お近くの整形外科に頼りになりそうな理学療法士がいなかった場合には、自分で何とかするしかありません。

そこで、ここではばね指の予防と改善のために、自分でできる運動をお伝えしたいと思います。

【予防】普段の使い方に気を付ける

できることであればばね指にはなりたくありませんので、まずは予防したいと思います。

ばね指を予防するためには、ばね指の原因となる指を曲げる腱を積極的に使わないようにし、腱と腱鞘の摩擦を起こさせない必要があります。

具体的には、できる限り指先で物をつかまないようにします。物をつかむときには指先ではなく、指の腹を使うようにしましょう。

意外と難しい!

指の腹を使うようにすると、ばね指の原因となる腱につながっていない筋肉を使うことになるため、ばね指になりにくくなります。

指先を使ってしまうと、ばね指の原因となる腱につながっている深指屈筋と浅指屈筋という2つの筋肉を使ってしまうため、ばね指になりやすくなります。

【痛みが出始めたら】関節を固定する

予防をしていても、指の曲げ伸ばしで指の付け根に痛みが出てしまった場合には、関節を固定しましょう。

このような痛みが出始めたら、腱や腱鞘に炎症が起きている可能性があります。

そのような場合には腱と腱鞘との摩擦を強制的に抑えるために、真ん中の関節に絆創膏やテーピングを貼ります。

ばね指は指がある一定以上曲がるとひっかかりや痛みが出てしまいますが、その手前までの曲げ伸ばしであれば症状が出ません。

炎症を抑えるためには何よりも安静が必要です。

日常生活で指を使いながら安静を保つためにはひっかかりや痛みが出る手前までしか指を曲げられなくしてしまう必要があります。

真ん中の関節が固定されてしまえば、構造上、指を曲げ切ることはできないため、腱と腱鞘との摩擦は生じにくくなります。

また、絆創膏であれば家に常備していることが多く、水にも強いので家事仕事などで気にすることもありません。

確かに、絆創膏は便利だわ!

【落ち着いてきたら】2つのストレッチ

最後に痛みが落ち着いてきたら、指を曲げる腱につながっている深指屈筋と浅指屈筋をストレッチしましょう。

深指屈筋
浅指屈筋

この2つの筋肉が硬くなってしまうと、指の付け根において腱と腱鞘の摩擦が増えてしまいます。

痛みのあるうちは炎症が続いている可能性があるので、痛みが落ち着いたころからストレッチは行ってください。

深指屈筋ストレッチ

深指屈筋という筋肉は親指以外の指先から肘の手前まで続いている筋肉です。

そのため、手のひらを上に向けて肘をしっかりと曲げ切った状態で指を反らせます。

指を最後まで反らせたところで30~40秒ストレッチしてください。

浅指屈筋ストレッチ

先ほどの深指屈筋ストレッチの状態からしっかりと肘を伸ばします。

ここで伸ばしたい浅指屈筋は指先の手前から肘をまたいで走っている筋肉なので、肘を伸ばすとストレッチがより効果的になります。

こちらでも、指を最後まで反らせたところで30~40秒ストレッチしてください。

この2つのストレッチは交互に繰り返し行うと効果をより高めることができます。

まとめ

今回は、ばね指のリハビリが少ない理由とばね指に対する簡単な対処方法についてお伝えしました。

ばね指のリハビリが少ない理由として、理学療法士と作業療法士のすみ分けと整形外科に手のリハビリを専門としている作業療法士が少ないことについてお伝えしました。

そのため、ばね指の予防や改善のためには自分で対処できるようにしておいた方が良いと思います。

そこで、ばね指に対する簡単な対処方法についてお伝えしました。

予防として、普段から指の腹を使うようにすること
痛みが出始めたら、絆創膏で関節を固定すること
痛みが落ち着いたら、ばね指の原因となる腱につながっている筋肉のストレッチをすること

それでも症状が改善しない場合には、インターネットで病院を検索するなどして、しっかりとリハビリをしてくれる病院を受診してみてください。

ばね指に対して自分でできることもあるのね。まずは予防をやってみるよ。

そうだね。手専門のお医者さんも多いわけじゃないから、ばね指にならないようにすることは重要だと思うよ。

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