それってホント!?足組みで骨盤はゆがむのか?
“足を組んで座るとカラダがゆがむから、足は組まない方がいいよ!”とよく言われているので、あまりよくは思われていない足組みですが、その理由については、
・足を組む→カラダがゆがむ
・カラダがゆがんでいる→足を組みたくなる
というように全く逆のことを言われていることもあります。
そこで今回は、なぜ足を組みたくなってしまうのか?そして、一般的に言われている足組みのデメリットは本当か?について理学療法士としての見解をお伝えしたいと思います。
足を組むと骨盤がゆがむって言われたことあるよ。
骨盤にある関節は仙腸関節だから・・・どうかな?
その関節がズレちゃうんじゃないの??
う~ん・・・仙腸関節がズレたら・・・痛いかな?
なぜ足を組むのか?
みなさんはなぜ足を組むのでしょうか?理学療法士の視点ではこのようなことが考えられます。
重心をずらすため
長い時間座っていると、どうしても腰や背中が張ってきてしまいます。
短時間であれば、無意識のうちにカラダの重心を変えることで腰や背中に負担がかからないようにできるのですが、長時間となると無意識の反応では対応できません。
そのため、意識的に足を組むことでカラダの重心をずらして、張ってきた腰や背中にかかる負担を他に逃がしていると考えられます。
また、重心が片方のお尻に偏ってしまっていると坐骨というお尻の骨に負担がかかりすぎてしまうので、意識的に反対側に重心をずらすために足を組みかえることもあると思います。
姿勢を安定させるため
体幹が安定していない場合にはイスに座っているとすぐに姿勢が崩れてしまうので、足を組むことで体幹を安定させていることがあります。
しかし、足を組むために動かす腰や股関節の可動域に制限がある場合には、組みやすい足が決まっているかもしれません。
足を組みやすい組み方では腰や股関節に負担がかかりにくく、反対の足を組んでしまうと姿勢が崩れやすくなってしまうため、可動域に制限がある場合には一方に偏って足を組んでしまっているかもしれません。
足組みのデメリット
一般的に言われている足組みのデメリットとそれに対する理学療法士としての見解をお伝えしたいと思います。
外ももが張って足が太くなる
【言われている理由】
足を組むとお尻の筋肉が伸ばされることで弱くなり、日常生活の外力に対してお尻の筋肉の代わりに太ももの外側の筋肉が過剰に使われてしまうため、外ももが張って足が太くなる。
足が太くなるなら、もう足は組まない!
まったくそんなことはないから安心して!
筋肉は伸ばされても、強くなることはあっても弱くなることはありません。
カタい筋肉が柔らかくなると、筋肉を使いやすくなるので力が強くなることはありますが、筋肉が柔らかくなって力が弱くなることはありません。
そのため、足組みをしていて外ももの筋肉が過剰に使われて、足が太くなるようなことはありません。
また、お尻の筋肉と外ももの筋肉は同一またはつながっている筋肉なので、別々に働くというよりは協同して働くことが多いです。
内ももやお腹がたるむ
【言われている理由】
足を組むことが習慣になっていると、太ももを内側に寄せる内ももの筋肉、つまり内転筋を使わなくなってしまい、内転筋と骨盤を介してつながっている腹筋も弱くなって一緒にたるんでしまう。
内もももお腹もたるむのは嫌!
そんなことにはならないから大丈夫だよ。
足を組んでいるからといって、内ももや腹筋がたるむことはありません。
そもそも、足を組んでいても、足を組まずに座っていても、それほど内転筋は働いていません。
一日中、そして何日も足を組み続けていればそのようなこともあるのかもしれませんが、内ももの筋肉である内転筋や腹筋は日常生活の足を組む以外の場面で十分に使っているので、足を組んでいるからといってたるむことはありません。
垂れ尻の原因になる
【言われている理由】
足を組むことでお尻の筋肉が弱くなり、筋肉が弱くなると使われなくなってしまうので、意識してお尻を鍛えていない場合にはヒップラインが下がってしまう。
・・・!?
ヒップラインが下がるのが嫌なんだね・・・。
たとえ、足組みでお尻の筋肉が伸ばされたからといって、筋肉が弱くなることはありません(今回2回目)。
習慣的にストレッチをしていてカラダが柔らかいからといって、その人の筋力は弱いでしょうか?
お相撲さんやラグビー選手は障害予防のためにカラダを柔らかくしていますが、はたして筋力は弱いでしょうか?
足組みでどれほど筋肉が伸びるかは分かりませんが、もし伸びているのであれば筋肉を使いやすくなり、無意識的に使う頻度が増えるのでヒップラインは上がるかもしれません。
腰痛になる
【言われている理由】
足を組むことでお尻の筋肉が弱くなり、日常生活の外力に対して不安定になるので、長時間のウォーキングや立ちっぱなしのときに腰の筋肉に緊張が生じて腰が痛くなる。
足を組むと、いつも以上に腰が痛くなるの!?
だ、大丈夫だよ・・・。
足組みをしてお尻の筋肉が弱くなることはありません(今回3回目)。
そもそも、ウォーキングや立っていることでお尻の筋力を全力で使っているわけではないので、筋力が多少弱くなったからといって腰が緊張して痛くなることはありません。
ウォーキングや立ちっぱなしで腰痛になってしまう原因には別の要因が考えられます。
ただし、足組みを続けていれば、一方の腰に負担がかかり続けることにはなるので、長時間足組みをしていれば腰は張ってしまい、終いには腰痛になってしまうこともあるかもしれません。
足組みで骨盤はゆがむのか?
骨盤にある関節は仙腸関節です。仙腸関節の動きについてはコチラをご参照ください。
仙腸関節の動きは3mm程度と言われていて、歳を重ねていくごとにカタくなっていきます。
このような関節が足組みぐらいでズレるようなことがあるでしょうか?
そして、もしズレれたとすれば痛みを伴います。これは仙腸関節性腰痛とよばれる腰痛で、お尻からひざ裏にかけて痛みが出ます。
仙腸関節由来の腰痛は腰痛全体の6%程度と割合いとしては多くないことからも、多くの方が行う足組みで骨盤がズレているとは考えにくいです。
足組みがカラダに影響を与えるとすれば、股関節や腰の可動域だと思います。
一方に偏った足ばかりを組んでしまっていると、太ももを内側や外側へ回す可動域に左右差が出てきてしまうかもしれません。
また、腰部にかかる負担にも左右差が出てしまうため、腰の張りにも左右差が出てしまうと思います。
とはいえ、足組み自体にも重心をずらして腰や背中の張りを解消するためや姿勢を安定させるためなどのメリットはありますので、一方に偏った足組みさえしなければ問題はないかと思います。
まとめ
今回は、なぜ足を組みたくなってしまうのか?そして、一般的に言われている足組みのデメリットは本当か?について理学療法士としての見解をお伝えしました。
足組み自体には骨盤をゆがめるほどの力はないと思われますが、一方の足に偏った足組みを長時間続けてしまうと、負担がかかり続ける側の腰に張りが出てきてしまうことはあると思います。
足組みをすることにもメリットはありますので、あまり偏ることなく左右同程度であれば足を組んでいても問題はないと思います。
足は組んでも大丈夫そうだね!
あんまり偏ることなくね!