MRIで分かる②ひざの曲げ伸ばしでよく動く組織

前回に引き続き、MRIを見れば一目瞭然!ということをお伝えしたいと思います。

今回は、ひざの曲げ伸ばしでよく動く組織についてです。

ひざの中で普段はよく動いている組織が動かなくなってしまうと、かなりの確率で痛みを出してしまいます。

実際にひざが痛くてリハビリに通っている方の8割は、このよく動く組織が痛みの原因になっているとも言われています。

そこで今回は、ひざの曲げ伸ばしでよく動く組織がどのように動いているのか、MRIで見ていきたいと思います。

ひざの曲げ伸ばしで一番よく動く組織とは・・・?

よく動かすためには、周りを柔らかくしておかないとならないんだ。

その組織って何なの!?

詳しくはこの後明らかに!

目次

よく動く組織とは!?

ひざに痛みのある患者さんによく聞かれます。

「今、押されているところがいつも痛くなるところです。それってなんですか?」

「これは脂肪の塊なんですよ。」

「え!?脂肪ですか!痩せないといけないってことですか・・・。」

「あ、違うんです。この脂肪はひざの隙間を埋めている脂肪なんです。皮下脂肪とは関係ないんですよ。」

「そうなんですか。」

そうなんです。ひざの痛みの8割はこの脂肪の塊が痛みの原因と言われています。

この脂肪には神経や血管が多いため、ひざがカタくなって動けなくなってしまったり、炎症してしまったりすると痛みを感じるようになります。

この脂肪の名前は・・・

膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)

です。まるで何かの必殺技のような名前ですね。

ひざで痛みを一番感じる組織ということを実証した、自分のひざに針を刺して検証した海外のお医者さんの実験も有名です。

自分のひざに針!?

この膝蓋下脂肪体がひざの曲げ伸ばしでどのように動いているかMRIで見てみたいと思います。

脂肪体はこう動く!

まずは、下のイラストを見てください。

ひざを縦にスライスして横から見ると、膝蓋下脂肪体はお皿の後下方の隙間に収まっています。

次に、下のMRIを見てください。

ひざの真ん中でスライス

左側のひざを伸ばしているMRIでは、先ほどのイラストと同じ位置に膝蓋下脂肪体が収まっています。

それに対して、右側のひざを曲げているMRIでは、膝蓋下脂肪体がお皿の後ろを通って上に移動していくのが分かります。

ここでお皿の動きがカタくなってしまっていると、膝蓋下脂肪体がお皿の下をくぐり抜けるができずに痛みの原因となってしまいます

なぜなら、膝蓋下脂肪体は圧が高まってしまうと痛みが出てしまう組織だからです。

例えば、ひざを床についたときには膝蓋下脂肪体に直接圧がかかります。

このときにお皿の動きや膝蓋下脂肪体自体がカタくなってしまっていると痛みが出てしまいます。

また、ひざを伸ばしきったときや曲げきったときにも膝蓋下脂肪体の圧が高まります。

そのため、ひざを伸ばして体重をかけたり、しゃがみ込んだりすることでも痛みが出ることがあります。

心当たりのある方はいらっしゃいませんか?

膝蓋下脂肪体の痛みを予防するには

膝蓋下脂肪体に圧がかかっても、膝蓋下脂肪体自体がカタくなっていなければ痛みはでません

そのため、膝蓋下脂肪体の痛みを予防するためには膝蓋下脂肪体を柔らかく保つことが重要です。

やり方は簡単です。

イスに座った状態でひざを伸ばして力を抜いてお皿を触ると、横に動かせるようになります。

お皿が横に動かせるということは、ひざの力が抜けている証拠です。

どうやってもお皿が動かない場合は、お皿の周りがカタくなっているかもしれません。

その状態でお皿の下1cmのところを中心にマッサージしましょう。

イラストやMRIを見てもらうと分かる通り、膝蓋下脂肪体はひざの奥まで隙間を埋めているので、上下左右だけではなく、浅いところから深いところまでマッサージをするようにしてください。

普段、違和感を感じているひざの膝蓋下脂肪体はカタくなっているかもしれませんね。

左右のひざでカタさが違うこともあるのね。

まとめ

今回は、ひざの曲げ伸ばしでよく動く膝蓋下脂肪体の動きをMRIで見てみました。

膝蓋下脂肪体はひざで最も痛みを出しやすく、カタくなりやすい組織です。

言い換えれば、一番よく動かなくてはならない組織です。

ひざを床について違和感が出始めたら、まずはマッサージをしてみましょう。

それでも違和感がなくならない場合にはお早めに理学療法士に相談してみてください。

膝蓋下脂肪体は動かなくちゃいけないってことがよく分かったわ。

普段からよくマッサージしておくと痛みを予防できそうだね。

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