再生医療後のリハビリ-必要性と注意点-
これまで担当させてもらった患者さんの中には、保険適用外の医療施設で再生医療を受けた方が数人いらっしゃいます。
その中には両ひざに200万円かけて注射をうっていた方がいらっしゃったのですが、その方の話をお聞きして、「あ・・・やっぱり・・・」と思うことがあったので、今回ここでお伝えしたいと思います。
結論としては、たとえ軟骨が再生したとしてもリハビリは終わりじゃない!ということです。
今後、再生医療を検討される方がいらっしゃれば、参考にしていただけたら嬉しいです。
保険適用外の施設でのリハビリって、自費のリハビリってことだよね?
自費でやってる理学療法士さんって、腕に自信があるんでしょ?
もちろん、そういう理学療法士さんもいるんだけど、必ずしもそうとも言えないんだ・・・。
でも、その理学療法士さんの腕が良いかなんて、患者さんには分からないよね??
難しいよね・・・。医療用語とか使われちゃうとすごい人に思えちゃうことあるもんね。
- 軟骨の再生医療は①軟骨を培養して手術で治す治療と②自分の血液成分を抽出して注射する治療がある
- たとえ軟骨が治ったとしても、傷ついてしまった原因も治さなければ再発してしまうかもしれない
- あらかじめ決められた運動ではなく、自分のカラダの状態にあった運動が必要
軟骨の再生医療
最近、再生医療を専門に行う保険適用外の医療施設が増えてきています。
テレビやインターネットでも取り上げられる機会が増えていますよね。
整形外科関連の再生医療と聞いて、一番最初に思い浮かぶのはひざの軟骨の再生じゃないでしょうか?
欠損してしまった軟骨を再生医療で元に戻す!とてもすごいことです。
軟骨の再生医療は大きく分けて①軟骨を培養して手術で治す治療と②自分の血液成分を抽出して注射する治療の2つがあります。
①の培養した軟骨を手術で治した患者さんを担当したときは、まだ治験ということもあって慎重に慎重に体重をかけていったよ。
再生医療の対象となるのは人工関節の手術をやりたくない、またはできない方です。
今回、話をお聞きした患者さんは手術を希望しておらず、②の血液成分を注射する治療を受けていました。
ちなみに、抽出する血液成分とは血小板という組織を再生する働きを持つ成分で、これを濃縮してひざに注射することで自然治癒力を高めて組織を再生します。
軟骨が再生するかどうかについては個人差があるようで、主に関節内の炎症を抑える効果が期待できるようです。
再生医療のその後に
再生医療を行う一番のメリットは、これまでは再生の可能性が低かった組織を再生できるかもしれないことです。
軟骨は基本的には血管も神経もないため、自然治癒を見込めない組織です。
基本的には神経がないから、軟骨は痛みを感じません。
大分減ってきてはいますが、いかにも軟骨を再生できそうなサプリメントのCMってまだありますよね?
そんなことができるのであれば再生医療なんて必要ありません。
そういえば、ちょっと前はサプリメントのCMいっぱいあったよね。
再生医療による組織の再生については100%を補償されていない上に、保険適用外なので高額な費用がかかります。
それでも手術をしなくても軟骨が治るなら!と治療を検討する方が増えています。
そのような場合には専門医としっかり話をして、納得した上で治療を受けるようにしてください。
治療を受けて軟骨が再生するとしたら、とても嬉しいですよね。でも・・・
それで終わりではありません。
え!?どういうこと??これで話は終わりじゃないの!?
再生医療を受けるかどうかについてはみなさんのご判断にお任せしますが、その時には次の質問と治療後のリハビリについても併せて考えておいてほしいのです。
軟骨はなぜ傷ついてしまったのか?
もしかしたら、普段はしない動作をたまたましたときに軟骨が傷ついてしまったのかもしれません。
しかし、多くの方は普段からひざにかかっていた繰り返しのストレスが原因となって、炎症を起こしてしまったり、軟骨を傷つけてしまったと思います。
ということは、たとえ軟骨が再生したとしても、普段からひざにかかっていたストレスを改善しなければ、再生した軟骨がまた欠損してしまう可能性が高いのではないでしょうか?
根本的なところを治さなきゃいけないってことなのね。
決められた運動で良いのか?
整形外科関連の再生医療を行っている施設には理学療法士が常駐しているケースが多いです。
話をお聞きした患者さんが通っていた施設にも理学療法士がいて、自宅でやってほしいと渡された運動がかかれた資料を見せてくれました。
その資料の内容はホームページにも掲載されており、どの患者さんに対しても基本的には同じ内容の筋力トレーニングを推奨しているようでした。
運動の内容は、おそらく大腿四頭筋というひざの前にある筋肉を鍛えたいであろう”ひざを力いっぱい伸ばす運動”と、中殿筋というお尻の外側についている筋肉を鍛えたいであろう”横に寝て足を開く運動”でした。
ひざにストレスをかけている原因は人それぞれです。
そのほとんどは筋力低下ではなく、足くび、ひざ、股関節のカタさが原因です。
再生医療を受けた患者さん全員が
同じ運動で良いのでしょうか?
患者さんの状態を確認して、それぞれの方に対して効果的な運動を選択することが理学療法士のやるべきことだと思います。
それが理学療法士の仕事なのね。
じつは再生医療に限らず、「〇〇の手術の後はAとBの運動」というように、決められた運動を推奨している病院もあります。
もし、そのような病院や理学療法士に当たってしまったら、みなさんのカラダの状態と行っている運動が合っているのか、一度確認してみると良いと思います。
まとめ
ひざの軟骨の再生医療を受けた後のリハビリについて考えてみました。
軟骨を欠損してしまった原因は人それぞれです。
今後、軟骨を欠損しないためにもその原因を解決できる自分にとってのリハビリを受けてください。
あらかじめ作られていた自主トレの資料を渡されてしまったら注意です!
その運動がなぜ自分のカラダに必要なのか、担当の理学療法士さんに確認してみましょう。
リハビリは軟骨を治すわけじゃなくて、軟骨が傷ついた原因を治す・・・てことよね?
そうだね!もし不安になったら、軟骨が傷ついた原因は何ですか?って担当の理学療法士さんに訊いてみると良いね!