衝撃!姿勢の良い人が腰痛になる!?

猫背が気になって普段から姿勢を意識している方腰痛を治そうと思って無理に姿勢を良くしようとしている方は、知らないうちに腰痛から逃れられなくなっているかもしれません。

なぜなら、姿勢が良いことが必ずしもカラダに良いこととは限らないからです。

そこで今回は、姿勢の良い人が腰痛になる原因についてお伝えしたいと思います。今回の話を読むことで姿勢を良くすることと腰痛に対する意識が変わるかもしれません。

私、元々腰痛持ちだから、いつも姿勢には気をつけているの!

いつも姿勢良いよね。それで、腰痛は良くなってるの?

うっ!!・・・腰痛は良くなってないかも・・・。

そうなんだね。姿勢を良くしても腰痛が治るわけじゃないんだよね。

このコラムで分かること
  • 腰痛は男性で1位、女性で2位ととても多い疾患である
  • 意識して姿勢を良くしていると腰痛になる
  • 姿勢が良くてなってしまう腰痛の対処方法
目次

姿勢の良い人がなりやすい腰痛

2019年に厚生労働省より報告された国民生活基礎調査の概況を見ると、腰痛は男性では1位、女性では2位にもなる疾患であり、誰であっても人生で一度は経験すると言われている疾患です。

厚生労働省の国民生活基礎調査の概況(2019)より

一言に腰痛と言ってもその症状と原因は様々であり、2019年に日本整形外科学会と日本腰痛学会により発刊された腰痛診療ガイドラインには様々な原因から起こる腰痛が示されています。

その中でも今回のテーマである姿勢の良い人がなりやすい腰痛は、長時間の家事やデスクワークなどで腰の筋肉が張って痛みを感じる筋・筋膜性腰痛と朝起きた時や腰を反ったときに腰の関節に痛みを感じる椎間関節性腰痛という腰痛です。

なぜ、姿勢の良い人がこれらの腰痛になりやすいのかお伝えしたいと思います。

なぜ姿勢を気にするのか?

なぜ、みなさんは姿勢を気にするのでしょうか?昔から姿勢には体調や気持ちだけではなく、自信や性格なども表れるとされています。

“姿勢を正す”という言葉には、”背筋を伸ばす”という身体的な意味だけではなく、”気持ちを入れ替える”、”物事への取り組み方を改める”といった精神的な意味も含まれています。

突然ですが、小学校に入学したときのことを思い出してください。

姿勢を正しなさい!

わ!びっくりした!

と、担任の先生に言われたことはありませんでしたか?

そのような経験から知らず知らずのうちに“姿勢が正しい”=良い“姿勢が正しくない”=悪いと刷り込まれてしまってはいませんか?

何となく姿勢を正していた子は容姿端麗なうえに成績優秀で、姿勢を正していなかった子は・・・だったような気さえしてしまいます。

中には先生に何度言われても姿勢を正せなかった子がいたのではないでしょうか?

これは精神的なもの、つまりやる気の問題ではなく、カラダの硬さによる身体的な問題が原因だったのではないでしょうか?

それにも関わらず、姿勢を正せ!姿勢を正せ!!と注意されてしまったことで、 “姿勢が正しくない”=悪いが刷り込まれ、今でも周りの目が気になってしまい、カラダに無理をかけてでも姿勢を正そうとして腰痛になってしまった方が多くいらっしゃいます。

これって、私のことだわ・・・。

実際に病院の待合いで姿勢を正して座っている患者さんのほとんどは腰痛で来院されている人です。

このような人は姿勢を正すのをやめるだけで腰痛をある程度は落ち着かせることができるのですが、姿勢を正す=”カラダに良い”という先入観を振り払えず、リハビリが難渋してしまうことがあります。

姿勢を気にしている人ほど腰痛になってしまうなんて・・・。

良い姿勢で腰痛になるメカニズム

良い姿勢で腰痛になってしまうメカニズムは次の通りです。

  • 過去の経験や周りからの目が気になる、または背筋を伸ばす姿勢がカラダに良いという思い込みにより積極的に良い姿勢をとる
    →実際には背中が丸くなっている人が多いのですが、腰は反ったまま固まってしまっている人が多いです。
     これはレントゲン画像やリハビリでの簡単なチェックで分かります。
     リハビリではこの固まってしまった反り腰を改善していきます。

  • 丸まった背中ではなく、反って固まってしまった腰をさらに反ってしまう
    →丸まった背中が気になり背筋を伸ばしますが、背中は丸まったまま固まってしまっているので、反り腰をさらに反ることになってしまいます。

  • ①、②の結果、腰の関節に負担がかかる、または腰を反る筋肉に過剰な収縮が起こり、筋肉内の血流が止まってしまう
    →腰には小さな関節がいくつかあり、その関節に負担がかかると関節の炎症、またはその周りの筋肉に過剰な収縮が起きてしまいます。
     筋肉が過剰に収縮してしまうと、筋肉の中にある細かい血管が圧迫されてしまい、痛みを引き起こす物質を代謝できなくなってしまいます。

  • 腰痛になる
    →腰の関節が炎症してしまったり、痛みを引き起こす物質を代謝できなくなってしまうと腰痛になります。その後も腰痛を治そうと思って良い姿勢を取り続けると・・・。

  • 慢性的な腰痛になる
    →④の繰り返しで悪循環となり、腰痛が慢性化してしまいます。

いますぐに姿勢を良くするのをやめないと!

対処方法について

普段から姿勢を良くしているにも関わらず腰痛があるという人は、もしかしたら①~⑤のメカニズムに当てはまってしまっているかもしれません。

まずは、日常生活の中で腰を反ってしまっている動作をやめるようにしてみましょう。

そして、鏡の前で横向きに立っていただき、丸みを帯びているのは背中なのか、それとも腰なのか確認してみてください。

もし、丸まっているのが背中であれば、相対的に腰が沿らされている可能性が高いので、良い姿勢をとるのをやめて、できるだけ背もたれに寄りかかる生活を心掛けてください。

寝るときには、仰向けでは腰を反ってしまうので、ひざの下にクッションを入れてみたり、ひざの間にクッションを挟んで横向きで寝るようにしてみると良いかもしれません。

自主トレーニングとしては、腰に負担をかけやすい肩甲骨周り股関節周りの硬さを改善する運動を行い、腰にかかるストレスを減らしていけると良いと思います。

バランスボールを使用して腰自体の張りを改善する方法や腰痛を予防するためのストレッチはコチラです。

すでに腰痛がある場合には、無理をせずに注意してストレッチを行ってください。

まとめ

今回は、姿勢の良い人がなりやすい腰痛についてお伝えしました。

良い姿勢を取ることのメリットは見た目や精神的な心構えを示せることであり、そのデメリットは腰にかかる負担が大きくなることです。

それでも良い姿勢で座りたい場合にはひざをできるだけ曲げて座ってみてください。

ひざを曲げると骨盤を後ろに引っ張ってしまう筋肉に余裕ができるので骨盤を起こしやすくなり、腰にあまり負担をかけずに姿勢良く座ることができます。

さらに腰にかかる負担を減らすのであれば、背もたれに寄りかかることをお勧めします。

これからは背もたれに寄りかかるようにするね!

腰痛があるのに姿勢を良くするのはやめたほうが良さそうだね。

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